犬が脳卒中(脳血管障害、CVA)を起こすと、飼い主にとってもペットにとっても非常に不安な出来事となります。犬の脳卒中のサインや原因、治療法について正しく理解しておくことは、大切な家族である愛犬の健康を守るうえで非常に重要です。
人間ほど頻繁ではありませんが、犬にも脳卒中は起こります。万が一脳卒中が疑われる場合は、早急に動物病院を受診することが不可欠です。本記事では、犬の脳卒中の症状、治療法、予防策まで幅広く解説し、万が一の際に落ち着いて対応できるようサポートします。
犬の脳卒中とは
脳卒中とは、脳への血流が突然遮断されることで生じる病気です。犬の脳卒中には主に2種類あり、血栓(血の塊)による血流障害で起こる「虚血性脳卒中」と、脳内の出血による「出血性脳卒中」があります。
脳卒中はどの年齢の犬にも起こり得ますが、高齢犬やグレイハウンド、ミニチュア・シュナウザー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどの犬種でよく見られる傾向があります。
脳卒中の症状を見分けるポイント
人と異なり、犬の場合は少し違った脳卒中の症状が現れます。主なサインは以下の通りです。
- 突然のバランス感覚の喪失や歩行困難
- 頭が傾く、円を描くように歩く
- 混乱や方向感覚の喪失
- 異常な眼球運動
- 体の片側の力が弱くなる
- 急に倒れる
- 行動や精神状態の急な変化
診断と早期対応
愛犬が脳卒中かもしれないと感じたら、すぐに動物病院を受診しましょう。動物病院では以下のような検査や処置が行われます。
- 全身の身体検査と神経学的検査
- 血液検査や尿検査
- MRIもしくはCTなどの高度画像診断
- 血圧測定
これらの検査により、他の神経疾患と鑑別しつつ、脳卒中の診断と原因の特定が進められます。
治療の進め方
犬の脳卒中治療は、全身のサポートと原因疾患の管理が中心です。よく行われる対応としては、以下のようなものがあります。
- 酸素吸入療法
- 点滴による水分補給
- 発作のコントロールや脳浮腫軽減のための投薬
- 基礎疾患(心臓病や高血圧症など)の治療管理
- 回復期のリハビリテーションや理学療法
回復とリハビリ
脳卒中を経験した犬でも、適切なケアにより著しい回復を遂げるケースが多くあります。回復過程で重要となる主なポイントをまとめました。
- 特に最初の24~48時間のこまめな観察
- 動物病院での定期的な経過チェック
- 理学療法やリハビリテーションの実施
- 安全のための生活環境の工夫
- 徐々に普段の生活リズムへ戻していく
予防のためにできること
脳卒中の全てを防ぐことはできませんが、リスクを低減させる対策として以下のことが有効です。
- 定期的な動物病院での健康診断
- 基礎疾患(心臓病、糖尿病、高血圧、クッシング症候群など)の適切な管理
- 適正体重や定期的な運動を心がける
- リスクの高い犬種や既往歴のある犬は血圧管理を徹底する
- 獣医師から指示された投薬を必ず守る
よくある質問
犬の脳卒中の主な症状にはどのようなものがありますか?
犬の脳卒中の一般的な症状としては、突然のバランス感覚の消失、頭の傾き、同じ方向にぐるぐる回る、体の片側の力が弱くなる、異常な眼球の動き、混乱状態などが挙げられます。人間と異なり、顔面の垂れ下がりはほとんど見られません。
犬の脳卒中はどのように診断され、どんな検査をしますか?
動物病院では、身体検査や神経学的評価、血液検査、さらにMRIやCT検査などの高度な画像診断を組み合わせて行います。これらの検査により脳卒中かどうかの確定診断と他疾患の除外を行います。
脳卒中になった犬にはどのような治療法がありますか?
治療は主に全身状態の安定化や症状のサポート(酸素吸入療法、点滴、発作や脳浮腫への対症薬)を行います。また、基礎疾患の治療や回復期のリハビリサポートも含まれます。
脳卒中のリスクが高い犬種や基礎疾患にはどんなものがありますか?
グレイハウンド、ミニチュア・シュナウザー、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどの犬種はリスクが高い傾向があります。また、心疾患や高血圧、糖尿病、クッシング症候群といった基礎疾患も脳卒中リスクを高めます。
犬は脳卒中から回復できますか?また、予後や回復過程はどのようなものですか?
多くの犬は脳卒中後も十分な回復を見せることがあります。適切な治療と早期対応、全体的な健康状態により、数週間で改善が見られる場合が多いです。回復過程には理学療法や基礎疾患の継続的な管理が含まれます。
犬の脳卒中は深刻な症状を示す場合もありますが、早期発見と迅速な動物病院での治療によって良い経過が期待できます。日頃から愛犬の健康状態に注意を払い、定期的な健康診断を受けることが、脳卒中の予防や早期対応につながります。