食糞(しょくふん)とは?
食糞(コプロファジア)とは、排せつ物(うんち)を食べる行動を指す科学用語で、多くの飼い主さんを悩ませる問題行動のひとつです。大切な愛犬がこの好ましくない習慣をしているのを見て、「なぜそんなことを?」と疑問に感じるのは当然でしょう。食糞は家庭犬として望ましい行動ではありませんが、背景にある理由を理解することが、適切に改善・管理するための第一歩になります。
犬に見られる「正常な」食糞行動
食糞は、状況によっては正常な行動として見られることがあります。たとえば授乳中の母犬は、巣を清潔に保つために子犬の便を食べることがあります。これは子犬の健康と衛生を守るための本能的行動です。また進化の観点では、食糞はオオカミから受け継がれた行動と考えられています。オオカミは巣穴内を糞便由来の寄生虫から守るため、新鮮な便を食べて巣を清潔に保っていたとされ、犬の中にもこの習性が残っている場合があります。さらに、犬は馬や猫など他の動物の便に含まれる栄養分に惹かれて口にすることもありますが、その一方で有害な細菌にさらされるリスクも高まります。
うんちを食べる「異常な」理由
一部の食糞は正常範囲として説明できる一方、別のケースでは背景に問題が潜んでいる可能性があります。たとえば飼い主の反応(叱る・騒ぐ等)が注目につながると学習し、気を引くために食糞を繰り返す犬もいます。腸の病気や栄養不足といった健康上の要因が関与する場合もあります。分離不安などの不安が引き金となり、置き換え行動として便を食べてしまうこともあります。また、トイレトレーニング中に強く叱られたり罰を受けたりした経験がある犬は、飼い主の反応を恐れて「証拠隠し」として便を食べることがあります。
食糞を防ぐための対策
食糞を改善するには、効果的な対策を組み合わせて継続することが重要です。ポジティブ強化(褒めて伸ばすしつけ)とトレーニングにより、便から離れた行動を選んだときにご褒美を与え、望ましい行動へ誘導します。環境面の管理として、ペットゲートの使用や猫のトイレを届かない場所に置くなど、便にアクセスできない状況を作ることも有効です。食事内容の見直しや、便の匂い・味を犬にとって魅力的でなくするサプリメントの活用が役立つ場合もあります。
状況別:具体的な解決策
食糞は状況によって対策を調整する必要があります。子犬の場合は、トイレトレーニングを一貫して行い、排便後はすぐに片付けることが、習慣化を防ぐうえでとても重要です。不安や狭い場所でのストレス(閉じ込められた感覚)がある犬には、生活スペースを広げる、静かな環境を確保する、知育玩具などのエンリッチメントを取り入れるといった工夫が役立ちます。成犬の再トレーニングでは、学習された行動を変えるために、根気と一貫したポジティブ強化を続けることが鍵となります。
しつけに役立つツール・補助アイテム
食糞をやめさせるトレーニングには、いくつかのツールが役立ちます。リード、クリッカー、トリーツポーチは、望ましい行動を強化するために便利です。また、プロバイオティクスや専用のチュー(おやつ)などにより便の味や匂いが変化し、犬にとって魅力が下がることで抑止につながる場合があります。
まとめ:健康的な環境づくりのために
食糞の背景にある原因を理解し、状況に合った対策を一貫して実行することが、改善と予防の要です。正常な理由と、問題が疑われる理由の両方を踏まえて対応することで、飼い主さんは愛犬が習慣を断ち切る手助けができます。これらの対策を継続することは、犬の健康と生活の質を高めるだけでなく、飼い主さんとの信頼関係をより強くすることにもつながります。






