犬のパルボウイルス感染症とは:概要
犬パルボウイルス(CPV、通称パルボ)は、犬の健康に深刻な影響を及ぼす感染力の非常に強いウイルスです。1970年代に発見され、環境中での生存力が高く、治療が遅れると致死率が高いことから、急速に重大な感染症として認識されるようになりました。効果的なワクチンがあるにもかかわらず、特に子犬やワクチン接種が不十分な犬では依然として発生がみられます。ウイルスが環境中で長期間生存できる点が厄介で、飼い主と獣医師にとって継続的な課題となっています。
パルボウイルスの感染経路と広がり方
パルボウイルスは主に感染犬の便(糞便)との接触で広がりますが、目に見える便だけがリスクではありません。ウイルスは地面、犬舎(ケンネル)、さらには感染物質に触れた人の手や衣服、犬の被毛や足先にも付着して残り得ます。環境中で数か月、場合によっては年単位で生存することがあり、感染力が非常に高い理由の一つです。そのため、感染犬と直接触れていなくても、犬同士の間で容易に広がる可能性があります。
かかりやすい犬と健康への影響
すべての犬が感染する可能性がありますが、特にリスクが高いのは生後6〜20週齢の子犬、未接種または接種が完了していない犬、そしてロットワイラー、ドーベルマン、ブル・テリア、ジャーマン・シェパード、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエルなどの特定犬種です。感染すると、消化器症状や免疫機能の低下など重い健康問題を起こし、嘔吐、下痢、発熱といった症状につながります。
パルボウイルスの診断と検査
犬のパルボウイルスの診断では、便を用いたSNAP ELISA検査(一般に「パルボSNAP検査」)がよく用いられます。便のスワブ検体で実施でき、約10分で結果が出ます。ただし、陰性でもパルボ感染を完全には否定できません。検査時点でウイルスを便中に排出していない場合があるためです。病気の進行が速く重症化しやすいことから、早期介入・治療のためにも的確な診断が重要です。
感染の進行と段階
パルボ感染は一般的なウイルス感染の段階(感染→潜伏→発症)をたどります。犬は、目に見える便がなくても、汚染された糞便由来のウイルスに触れることで感染します。曝露後は3〜7日程度の潜伏期間があり、この間にウイルスは分裂の速い細胞を標的にして増殖します。初期には扁桃やリンパ節が攻撃され、進行すると免疫系と消化管が障害され、重篤な合併症につながります。
パルボの治療方針
パルボウイルスに対する特効薬はないため、治療は犬の体がウイルスと戦えるようにする支持療法が中心です。入院下での点滴(静脈輸液)、嘔吐を抑える制吐薬、栄養サポート、電解質異常の補正などが標準的な治療に含まれます。敗血症が疑われる場合や、白血球が大きく低下した場合には抗菌薬が使用されることもあります。早期に、かつ集中的な支持療法を行うことで生存率は大きく向上します。
予防策とワクチン接種
予防の最も効果的な方法はワクチン接種です。犬のパルボワクチンは通常、DHPP(またはDAPP)などの混合ワクチンに含まれ、生後6〜8週齢から開始し、16〜20週齢まで2〜4週間隔で追加接種します。1歳時に追加(ブースター)を行い、その後は1〜3年ごとに接種します。未接種の犬との接触や、感染リスクの高い場所を避けることも、感染予防において重要です。
パルボ治療にかかる費用の目安
パルボの治療費は、重症度や入院期間によって数百〜数千ドルと高額になることがあります。平均的には1,000〜2,100ドル程度とされます。一方、ワクチンは費用対効果の高い予防手段であり、すべての犬で適切な時期に必要回数の接種を完了させる重要性が際立ちます。
犬のパルボに関するよくある質問
飼い主の方からは、再感染の可能性、人や他の動物への感染、ワクチンの効果などについての質問が多く寄せられます。回復した犬で再感染は起こりにくいものの、ワクチンは引き続き重要です。パルボウイルスは人には感染しませんが、猫が別系統のパルボウイルスに感染することはあり、その場合は一般に症状が比較的軽いことが多いとされています。ワクチンは強い防御効果を示し、感染リスクを大幅に低下させます。
まとめ:ワクチンと早期発見の重要性
犬のパルボウイルス感染症は感染力が非常に強く、命に関わることもある重大な病気ですが、ワクチン接種によって予防が可能です。生存率を高め、犬への負担を最小限にするためには、早期発見と迅速な治療が欠かせません。飼い主はワクチンのスケジュールを優先し、気になる症状があれば早めに受診することで、大切な愛犬をこの深刻な脅威から守りましょう。






