犬の陰茎の健康:はじめに
犬の陰茎の健康を理解することは、愛犬の全身の健康を守るうえで重要です。飼い主の方は「これは正常なのか、それとも病気のサインなのか」と不安になることが少なくありません。痛みや違和感、病気の兆候に早く気づければ、重い合併症を防げる可能性があります。本記事では、犬の陰茎の構造、よくあるトラブル、健康を保つために必要なケアについて解説します。
犬の陰茎の構造(解剖)
犬の陰茎には、理解しておきたい独特な解剖学的特徴があります。陰茎は粘膜に覆われているため湿った見た目で、鮮やかなピンク色〜赤色に見えるのが一般的です。陰茎骨(os penis)という骨が陰茎内にあり、勃起していない状態でも一定の硬さを保つ役割があります。さらに、陰茎の根元にある球状部(bulbus glandis)は、興奮時に血液で腫れて皮膚の下にコブのようなふくらみとして触れます。これらはいずれも正常な所見で、生殖に関わる働きを助けています。
正常と異常の見分け方
正常な陰茎の働きとして、スメグマ(包皮垢)と呼ばれる分泌物が出ることがあります。黄色がかった白色、またはやや緑がかった分泌物で、潤滑の役割を担います。スメグマの量には個体差があり、多いからといって必ずしも心配はいりません。また、去勢済みの犬でも勃起は起こり得て、数分から1時間ほど続くこともあります。一方で、通常の分泌物と、感染症を示唆する過剰な排液や不快感(痛み・違和感)を見分けることが、異常の早期発見につながります。
よくある陰茎の健康トラブル
犬の陰茎には、感染、過度な舐め行動、異常な分泌物など、さまざまな問題が起こり得ます。感染症では分泌物の増加や執拗な舐めが見られることが多く、単なる日常行動と勘違いされる場合もあります。血が混じる分泌物は、傷、尿路の問題、または前立腺の疾患(特に高齢の未去勢犬でみられる良性前立腺肥大症:BPH)など、より重い状態の可能性があります。原因の特定と治療のため、速やかな受診が重要です。
行動面:舐める行為と自己刺激
犬が陰茎を舐めるのは、清潔を保つための行動であることも、自己刺激として見られることもあります。時々舐める程度であれば正常範囲の場合が多い一方、過度に舐め続ける場合は、何らかの健康問題が隠れていることがあります。分泌物の増加や痛がる様子など、ほかの症状を伴う場合は感染や外傷が疑われるため、獣医師に相談しましょう。
陰茎からの出血:見つけ方と対処
陰茎からの出血は、外傷、感染症、前立腺の問題など、さまざまな原因で起こります。未去勢犬では、BPHが血の混じった分泌物の一般的な原因の一つです。出血が見られた場合は、原因を特定して適切な治療を開始するため、直ちに動物病院を受診してください。
包皮から戻らない状態(パラフィモーシス)と腫れ
パラフィモーシス(包皮内に陰茎を戻せない状態)は、神経系の異常、外傷、解剖学的な異常などが原因で起こることがあります。排尿困難や組織の損傷、不可逆的なダメージにつながる可能性があるため、緊急性の高い状態です。陰茎の腫れが続く場合も、感染症などの重い病気を除外する必要があるため、獣医師の診察を受けましょう。
分泌物:心配すべきサイン
少量のスメグマは正常ですが、量が急に増えたり、色が変わったりする場合は健康トラブルのサインになり得ます。異常な分泌物は、感染、外傷、その他の病気を示唆することがあるため、愛犬の健康を守るためにも獣医師の診察が推奨されます。
発疹・皮膚トラブル
包皮には、刺激物、アレルゲン、寄生虫などが原因で発疹が生じることがあります。強い発疹や長引く発疹は、獣医師に評価してもらいましょう。勃起時にふくらみが触れるのは正常な場合がありますが、しこりやブツブツが持続する場合は、外傷、感染、腫瘍などの可能性があるため確認が必要です。
いつもと違うしこり・できもの
勃起時に見られる一時的なしこりは正常所見のこともありますが、持続するものや明らかに普段と違うできものは、健康問題を示す可能性があります。外傷、感染、腫瘍などが原因のことがあるため、獣医師による評価が重要です。
予防的ケア:陰茎の健康を守るために
犬の陰茎の健康を保つには、日頃から異常がないか観察し、定期的な健康診断を受けることが大切です。早期発見ができれば治療を迅速に開始でき、痛みや不快感を最小限に抑えられます。少しでも気になることがあれば、早めに獣医師へ相談しましょう。
まとめ:獣医師への相談の重要性
犬の陰茎の健康を理解し、日常的に状態を確認することは、深刻な健康問題の予防に直結します。気になる症状がある場合、獣医師への相談は不可欠です。飼い主が予防的に行動することで、愛犬の健康と生活の質(QOL)を支えることができます。






